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ウクライナ語教材

2023/12/04

ウクライナ語の学習書・辞典など。網羅を意図していません。

冊子体と電子書籍(PDF を含む)が対象です。オンライン教材は対象外です。

版元様へ:書影画像をいただければ掲載します。誤りのご指摘があれば訂正します。

教科書・文法書

『ゼロからスタート ウクライナ語 文法編』Jリサーチ出版(2023)

本サイトでの略称:ゼロからスタート
書名ゼロからスタート ウクライナ語 文法編
著者等オクサーナ・ピスクノーヴァ 著
出版者Jリサーチ出版
出版年2023
ISBN978-4-86392-598-4
版元サイトhttps://www.jresearch.co.jp/book/b630567.html
本体価格2000 円
書名に「文法編」とあるがいわゆる文法書ではなく,課ごとに複数の例文(一部会話)を提示して,それに解説を加えていくタイプの入門書。全 25 課。
音声は無料ダウンロード。

『つばさ君のウクライナ語』白水社(2020)

本サイトでの略称:つばさ君
書名つばさ君のウクライナ語
著者等黒田龍之助 著
出版者白水社
出版年2020
ISBN978-4-560-08872-2
版元サイトhttps://www.hakusuisha.co.jp/book/b508434.html
本体価格3000 円
『ニューエクスプレスプラス ロシア語』のスキット(会話文)をウクライナ語に(ロシア語訳も掲載)。随所にロシア語との違いを記載。全20課。巻末単語集は宇和・露宇。
音声は無料ダウンロード。

『ウクライナ語会話・文法』ベスト社(2020)

本サイトでの略称:会話・文法
書名ウクライナ語会話・文法
著者等スロボヂャン ヴァレンチナ,ユーラシアセンター 共編
出版者ベスト社
出版年2020
本体価格5000 円
会話 200 ページ弱。小文法約 140 ページ。日宇語彙集 4000〜5000 語。文法索引あり。
CD-ROM 付属。

『ニューエクスプレスプラス ウクライナ語』白水社(2019)

本サイトでの略称:ニューエク
書名ニューエクスプレスプラス ウクライナ語
著者等中澤英彦 著
出版者白水社
出版年2019
ISBN978-4-560-08834-0
版元サイトhttps://www.hakusuisha.co.jp/book/b451091.html
本体価格3400 円
課ごとにスキット(会話文)+解説。2 課ごとに練習問題。全20課。
音声は無料ダウンロード。
電子書籍版(ISBN 978-4-560-45506-7) もある。

『初級ウクライナ語文法』三修社(2017)

本サイトでの略称:初級文法
書名初級ウクライナ語文法
著者等黒田龍之助 著
出版者三修社
出版年2017
ISBN978-4-384-05864-2
版元サイトhttps://www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384058642/
本体価格3000 円
ウクライナ語の初級文法を,ロシア語と対照しながら順を追って解説。
本編(全 20 課)の前に挨拶などの基本表現の章あり。
音声CD付き。音声はダウンロードも可(無料)。

『ウクライナ語を話そう!!』スラヴァ書房(2013)

本サイトでの略称:話そう
書名ウクライナ語を話そう!!
著者等阿部昇吉,吉田ワルワーラ 著
出版者スラヴァ書房
出版年2013
版元サイトhttps://www.srava.net/books#comp-ljryz1r3
電子書籍(Kindle)

『ウクライナ語入門』大学書林(1991)

書名ウクライナ語入門
著者等中井和夫 著
出版者大学書林
出版年1991
版元サイトhttp://www.daigakusyorin.co.jp/book/b11894.html
本体価格4500 円
日本語でウクライナ語を学ぶ初めての教科書。全 20 課。
巻末に七つの読み物,「文法変化表」「ウクライナ語小史」が付く。
別売カセットテープ全2巻。
参考:И.П. Бондаренко,日野貴夫「日本初のウクライナ語教科書の出版によせて」(PDF),外国語教育:理論と実践,No. 19,天理大学言語教育研究センター(1993),p. 61

辞書・単語集

『ウクライナ語辞典』ベスト社(2012)

本サイトでの略称:ベスト社辞典
書名ウクライナ語辞典
著者等ビェリコフ オレクサンドル セルギョヴィチ 監修,ユーラシアセンター 編
出版者ベスト社
出版年2012
本体価格20000 円
見出し語数約 5 万。例句・例文・慣用句も掲載。付録に「ウクライナ語小文法」。
アクセント記号は見出し語だけでなく例文等にも付く。
A5 判,1076 ページ。
参考:『ウクライナ語辞典』,ベスト社(2012)|Lingvenko

“New English-Ukrainian Ukrainian-English Dictionary”, Єдінорог (2001)

書名New English-Ukrainian Ukrainian-English Dictionary
言語英語
著者等В.Ф. Малишев, О.Ю. Петраковський
出版者Єдінорог
出版年2001
ISBN978-966-7333-50-8
見出し語数約 6 万。

“Ukrainian-English Dictionary”, University of Toronto Press (1995)

書名Ukrainian-English Dictionary
言語英語
著者等C.H. Andrusyshen 編
出版者University of Toronto Press
出版年1995
ISBN978-0-8020-6421-9
版元サイトhttps://utorontopress.com/9780802064219/ukrainian-english-dictionary/
1163 ページ。もともとはサスカチュワン大学(カナダ)で 1955 年に発行されたもの。

『厳選 ウクライナ語日常単語』語研(2023)

本サイトでの略称:厳選日常単語
書名厳選 ウクライナ語日常単語
著者等語研編集部 編
出版者語研
出版年2023
ISBN978-4-87615-400-5
版元サイトhttps://www.goken-net.co.jp/catalog/card.html?isbn=978-4-87615-400-5
本体価格2000 円
収録語数 1000 語。アルファベット順でなく関連する語がまとまっている。日本語索引付き。
音声は無料ダウンロードできるほか,QR コードからの再生や,ダウンロード不要なウェブ上の「すぐ聴く音声」にも対応。

『ウクライナ語単語集』スラヴァ書房(2022)

書名ウクライナ語単語集
著者等阿部昇吉 編
出版者スラヴァ書房
出版年2022
版元サイトhttps://www.srava.net/books#comp-ljryz1r31
電子書籍(Kindle)。
宇和が約 6000 語,和宇が約 5600 語。

『ウクライナ語基礎1500語』大学書林(1995)

本サイトでの略称:1500語
書名ウクライナ語基礎1500語
著者等黒田龍之助 編
出版者大学書林
出版年1995
ISBN978-4-475-01113-6
版元サイトhttp://www.daigakusyorin.co.jp/book/b11985.html
本体価格3000 円
語数 1600 語超の単語集。
「ウクライナ語—日本語」「ウクライナ語小文法」「日本語—ウクライナ語」の部からなる。
「小文法」には「ロシア語学習者のために」という章が設けられている。

“1000 Most Useful Ukrainian Words, 2nd Ed.”, Ukrainian Lessons (2023)

本サイトでの略称:1000 Most Useful
書名1000 Most Useful Ukrainian Words, 2nd Ed.
言語英語
著者等Anna Ohoiko
出版者Ukrainian Lessons
出版年2023
版元サイトhttps://www.ukrainianlessons.com/1000words/
基本的な 1000 語に絞った単語集。冊子版と PDF 版がある。いずれにもフラッシュカードデータ(Anki アプリのデータ)が付く。
全語に例文がつく。例文にもアクセント表記。フラッシュカードは例文も含めて音声付き。

“Beginning Learner’s Ukrainian Dictionary”, Lingualism (2022)

本サイトでの略称:Beginning Learner’s
書名Beginning Learner’s Ukrainian Dictionary
言語英語
著者等Matthew Aldrich, Lisa Shilova
出版者Lingualism
出版年2022
ISBN978-1-949650-71-6
版元サイトhttps://lingualism.com/product/beginning-learners-ukrainian-dictionary/
基本的な 1000 語に絞った単語集。冊子版と PDF 版がある。
単語ごとに例文と変化表(名詞・形容詞は格変化表,動詞は現在形・過去形の変化表)を掲載。例文にもアクセント表記。音声データが無料でダウンロードできる。

“Collins Essential - Ukrainian Essential Dictionary”, HarperCollins Publishers (2022)

本サイトでの略称:Collins Essential
書名Collins Essential - Ukrainian Essential Dictionary
言語英語
著者等Collins Dictionaries
出版者HarperCollins Publishers
出版年2022
ISBN978-0-00-856790-3
版元サイトhttps://collins.co.uk/products/9780008567903
宇英・英宇を一冊にしたハンディーサイズの単語集。
ペーパーバック。448 ページ。
見出し語数はそれぞれ 2 万語くらいか?
ウクライナ語にはアクセント表記が無い。
宇題:українсько-англійський, англо-український словник (Collins Essential)

会話集・対訳

『ウクライナ語会話』ベスト社(2007)

本サイトでの略称:ベスト社会話
書名ウクライナ語会話
著者等ユーラシアセンター 編,Дмитришина Зоряна 校正
出版者ベスト社
出版年2007
本体価格5000 円
「職業」「地下鉄」「朝食」「歯医者で」など 64 のセクションに分かれており,旅行者から長期滞在者まで幅広い利用者を想定している。日本語にはキリル文字による発音を併記し,ウクライナ語話者との共用にも配慮。各セクションに「関連単語」がつく。
付録として小文法と語彙集(アルファベット順,3000 語程度?)。

『ウクライナ避難民とコミュニケーションをとるためのウクライナ語会話集』ドニエプル出版(2022)

本サイトでの略称:ドニエプル会話集
書名ウクライナ避難民とコミュニケーションをとるためのウクライナ語会話集
著者等ミグダリスカ・ビクトリア,ミグダリスキー・ウラディーミル,稲垣ジュリア潤 著
出版者ドニエプル出版
出版年2022
ISBN978-4-88269-923-1
本体価格500 円

『シェフチェンコ詩選』大学書林(1993)

書名シェフチェンコ詩選
ウクライナ語対訳 
著者等藤井悦子 訳注,シェフチェンコ,T. 作
出版者大学書林
出版年1993
ISBN978-4-475-02423-5
版元サイトhttp://www.daigakusyorin.co.jp/book/b11945.html
本体価格4200 円
タラース・シェウチェンコの作品 28 編の対訳。
「シェフチェンコの生涯」,作品解説,語彙集付き。
別売カセットテープあり。

素人による教材案内

筆者が実際に使用した(使用している)教材を中心に,いくつかの初級教材について案内的な文を掲載します。

筆者はウクライナ語のド素人であり,本節の内容は信頼できません。的外れなことを書いているかもしれません。

また,語学の目的・目標や,好みのやり方,手段の向き・不向きは人それぞれであり,本節の内容が仮に妥当であったとしても,読者にとって有益とは限りません。

ウクライナ語教材は,英語を学習手段とするものはそれなりに充実していると思われますが,筆者が英語デキナイ人なので,そもそもどんなものがあるのかよく知りません。本節では単語集についてのみ言及します。

教科書

講座を受講する場合,教科書は指定されたものを使うことになりますが,独習だとどう選べばいいでしょうか。

ロシア語既習者であれば,音韻・語彙・文法ともにロシア語と対照しながら学習するのが効率が良さそうです。そういう方には『つばさ君』が向いているかもしれません(筆者未見)。

テキスト量や盛り込む文法事項が少し抑えめで完走しやすいのは『ゼロからスタート』だと思います。初版初刷では発音の振り仮名に誤植が散見されるので,付属の音声を頼りにするとよいでしょう。

定番教材となるとやはり『ニューエク』でしょうか。いくつかの講座で採用されているようです。

これら三つと,『ウクライナ語入門』はいずれも,課の最初にウクライナ語テキストが掲げられ,それに対して解説が加えられる,というスタイルです。このうち,『つばさ君』と 『ニューエク』は一つのテキストが完全な会話になっています。『ゼロからスタート』と『ウクライナ語入門』は独立の文か短い会話の集まりになっています。

前者は一つのテキストが一貫した流れになっていて文脈を形作っており,丸暗記するのに向いていると思います。後者はその課で導入する文法事項を簡潔に盛り込んでいる点が学習の容易さにつながる気がします。

なお,後者のテキスト量は『ウクライナ語入門』が多め,『ゼロからスタート』が少なめです。

ところで,ウクライナ語には七つの格がありますが,この格の名称と順序について,ここで言及した教材の中では『ニューエク』のみが他と少し違っています。

他で「生格」「造格」「前置格」と呼んでいるものは,『ニューエク』では「属格」「具格」「所格」です。どちらが良いかは好みもあるでしょう。筆者は後者のほうが格の役割をよく表している気がして好みです。

また,順序も,他の多くは主・生・与・対・造・前・呼であるのに対し,『ニューエク』では主・対・属・所・与・具・呼となっています。

前者はロシア語教育でも長らく用いられてきた伝統配列(?)です。おそらくラテン語文法か何かが元になっています。後者はウクライナ語(やロシア語など)の格の特徴にマッチしていて,合理性が高く覚えやすいと筆者は思います(融合した格が隣り合うため)。

複数の教材を併用するとき,格の呼称・順序が違うと,やはりいくらか混乱します。それがどうしても嫌という方は混用を避けるのがよいかもしれません。

文法書

いわゆる文法書は私の知る限り 『初級文法』しかありませんが,これはたいへん有用だと思います。例文もよく工夫されています。

『ニューエク』や『ゼロからスタート』などである程度学んだら,本書を併用して文法をおさらいしていくといいのかもしれません。

また,本書の特徴としてロシア語文法と対照して書かれているので,ロシア語文法を一通り身につけた人がウクライナ語文法を知るのにも向いていると思います。この目的なら,最初に手に取る教材としても使えると思います。

文字の学習

ロシア語やブルガリア語などの既習者でもなければキリル文字がまず最初のハードルになると思いますが,ここが懇切丁寧に書かれている初級教材がなかなか無いようです。

学習を進めるうえで,ノートなどに文字を書く必要がありますが,いわゆるブロック体を手書きでどのように書くかは,印刷された文字を見ても分かりません。

教室で学ぶ場合は先生の板書を真似したり,質問して教わることができますが,独習ではそれができません。今後の初級教材の課題と言っていいと思います。

次の課題はイタリック体(クルスィウ)です。キリル文字のイタリック体は慣れるまで難しく感じられます。

学習が進めば,どこかでイタリック体を習得する必要が出てきますが,初級教材の文字表に必ずしもイタリック体が掲載されてないのが現状です。これも今後の課題だと思います。

さらに,やはりどこかの段階で筆記体を学ぶことになります。筆記体は続け書きするので,綴りを覚えるのに役立つ面もあります。

初級教材には筆記体の文字表が載っていることがありますが,キリル文字の筆記体は文字表だけ見ても正しく書けません。л, м, я などへの続け方は,まず確実に間違うでしょう。

『ウクライナ語入門』 には,筆記体のごく短い例文が載っていて,続け方を知るのに有益です。しかし,これとて十分とは言えません。

単語集と辞典

単語集と辞典の境目は明確でないと思いますが,

  • 収録語彙の規模
  • 一語あたりの情報量

の二軸で捉えたときに,万単位の収録語を持ち,訳語にとどまらず用例なども掲載されたものをここでは辞典と呼び,そうでないものを単語集と呼ぶことに仮にしたいと思います。

単語集は英語で学ぶものも含めればいくつもあり,それぞれに特徴があります(イラストが豊富なものや特定分野の語彙に特化したものなど)。

語数が千語,二千語クラスのものは,引いて使うのではなく,端から読んで覚えるためのものでしょう。

この場合,アルファベット順よりも「食べ物」「身体」といったテーマごとにまとめられているほうが学びやすいと思います。『厳選日常単語』はそのようになっています。

アルファベット順配列で,かつ英語で学ぶものではありますが,以下の二つは良さそうです。

いずれも 1000 語の単語集ですが,各語に例文が掲載されていること,例文にもアクセント記号が振られていること,それらに音声が付いていることがポイントです。

単語を理解し,記憶するためには例文の存在が欠かせませんが,ウクライナ語のように曲用(性数格による変化)・活用の複雑な言語ではとりわけ重要であるでしょう。

前者は Anki のデータが付いてくることが特長です。Anki は暗記カードを実現するソフトウエアで,いわゆる 間隔反復 を利用したカード提示がなされます。Windows, macOS, Android 用のアプリが無償配布されています。iOS アプリ(AnkiMobile Flashcards)は有償のようです。

なお,PDF では見出し語にアクセント記号が振られていますが,Anki データではそうなっていません(例文はアクセントあり)。アクセント記号を入れると Anki アプリで検索できなくなるからかもしれませんが,少し残念です。音声を聞いて確認するしかありません。

“1000 Most...” の Anki データには,単語のイメージ写真や,例文が付いています。見出し語だけでなく例文にも音声が付いています。これをスマートフォンに入れておけば,ちょっとしたスキマ時間で語彙学習ができます。

もっとも,Anki をめくっているだけでどんどん語彙が増えたりはしないでしょう。出てきた単語や例文を辞書で確認したりノートに書き出したり,といったことも必要だと思います。

“Beginning Learner’s” の特長は,名詞・形容詞,動詞の変化表が一語一語に付いていることです。Wiktionary もそうなっていますが,ウェブ上の教材を除けばこのような単語集はなかなか無いと思います。たとえ規則変化であっても変化形を導くのは初学者にとって至難の業なので,ありがたいですね。

次に辞典ですが,宇和辞典として ベスト社辞典 がほぼ唯一の存在でしょう。高価なので気軽には買えませんが(そこは人それぞれ),本腰を入れて学ぶなら必須と言っていいのではないでしょうか。

読み物

ある程度語彙と文法が身に付いたら,読み物に挑戦したくなりますが,ウクライナ語教材はこの分野が決定的に欠けています。

『ニューエク』には,「読んでみよう」として,100 語程度と 70 語程度の文章が載っています。

『ウクライナ語入門』には,七つの短い読み物が載っています。貴重な存在です。

なお,物語でなく詩の対訳教材は『シェフチェンコ詩選』があります(筆者未見)。

詩では,教材として編まれたものではありませんが,日本語とウクライナ語が併記された詩集がいくつか出版されているようです。

  • 『あなたの家がどこかに残るように』,ボグダン・パブリー 著,ドニエプル出版(2022)
  • 『夢のように美しい貝殻』,リュドミラ・スキルダ 著,高木書房(2004)
  • 『愛と太陽の園』,リュドミラ・スキルダ 著,鳥影社(2002)

これらがウクライナ語学習に使えるかどうかは筆者には分かりません。

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