こちらの講座は終了いたしました。
開講日時・会場
開講日時
2017年4月16日(日)13:30〜16:30(全3時間途中15分休憩含む)13:15開場
講師
大熊肇さん(グラフィックデザイナー)
定員
30名
会場
TKPスター貸会議室 茅場町駅前 カンファレンスルーム5A
(東京都中央区日本橋茅場町1-5-2 日原ビル 5F)
●東京メトロ東西線/日比谷線 茅場町駅 8番出口 徒歩2分
●銀座線 日本橋(東京都)駅 D2出口 徒歩6分
アクセス
受講料
3,000円
お申し込み方法
定員に達したので締め切りました。キャンセル待ちをご希望のかたは事務局までご連絡下さい。
講座のねらい
5月から開講予定の「大熊肇の組版道場」。この連続講座に先立ち、講師で『文字の骨組み』(彩雲出版、2009 年)著者の大熊肇さんの特別講義を開催します。この特別講義は、2012年に開催して好評をいただいた「文字の骨組みを識る」の内容に、最近のご研究のトピックも交えてお話しいただくものです。
私たちは日々の仕事の中で、一点しんにょうと二点しんにょうの問題で困ったり、渡邊の「辺」の字の異体字の多さにとまどったり、さまざまな字体の問題に直面します。さまざまな「字体」とは、どのようにつきあって行けばよいのでしょうか。字体を使いこなす指針のようなものはないのでしょうか。
講師の大熊肇さんには、書体と字体にまつわる長年の研究成果を存分に語っていただきます。
「組版道場」受講をお考えの方、字体/書体にご興味のあるかた、校正者・DTPオペレーターなど日々お仕事で字体と向き合うかたなど、どなたさまももお気軽にご参加ください。
*2017年度『組版道場』を受講される方は、こちらの講座の受講料が含まれています。必ずご参加ください。
講師からのメッセージ
字体とは「文字の骨組みの概念」のことです。では「骨組み」とはなんでしょう。「概念」とはなんでしょう。
骨組みは骨格とは違います。骨格にはりっぱな骨格とか華奢な骨格とかいろいろありますが、りっぱな骨格の人も華奢な骨格の人も骨組みは同じです。 あばら骨が縦についていたり、肱の関節が2つあったりなんてことはふつうはありません。
概念というのは野球のストライクゾーンのようなものです。サッカーのゴールは実際にあるけど、野球のストライクゾーンは実際にはありません。ではどこにあるのか。それぞれの皆さんの脳のどこかにあるのです。そしてそれぞれの皆さんの概念は同じ部分もあるけどそれぞれ違うのです。あなたの書いた字が、読む人のストライクゾーンに入っていればその字として読めますが、ボールなら解読できません。現代人が古文書を読めないのはストライクゾーンが変わってしまったからです。
「吉」には上部が「士」の「吉(さむらいよし)」と「土」の「吉(つちよし)」がありますが、これは違う字なのでしょうか、同じ字なのでしょうか。 牛丼の吉野家の「吉」にはどちらの「吉」を使えばよいのでしょう。総理大臣だった吉田茂は「吉」をどう書いていたでしょう。
「北」の左側の縦線は手書きでも下に突き通すべきでしょうか。「印」はどうですか。しんにょうの点はいくつ書いたらよいでしょう。「秘」の偏は 「禾」なのに「祕」の偏は「示」ですがどちらを書くべきでしょう。斉藤さんと斎藤さんと齊籐さんと齋藤さんは同じなのでしょうか……
文字が誕生してから現代まで、人々はどんな字を読み、書いてきたのか。現在使っている字はどのようにできたのか、字体・書体の3500年を考えてみます。
対象
編集者、校正者、組版関係者、デザイナーなどお仕事で文字を扱う方、教師など文字を教える立場にある方。また、テーマにご興味のある方はどなたでも。
講師紹介
大熊肇(おおくま はじめ)
1960年(昭和35)埼玉県春日部市生まれ。グラフィックデザイナー。8歳から書道教室に通う。小学校で教師に「木」の縦線をはねないように注意された (もちろんはねてもよい)のがきっかけで、字体に強い興味を持つ。道吉デザイン研究室を経てフリーランスになるころ、マッキントッシュを導入し、DTP組版を試みるが、組版についての無知を思い知り独学する。毛筆のロゴや篆刻も制作する。著書に『文字の骨組み 字体/甲骨文から常用漢字まで』(彩雲出版、2009 年)、『文字の組み方 組版/見てわかる新常識』(誠文堂新光社、2010年)。共著に『組版/タイポグラフィの廻廊』(白順社、2007年)、『キチンと身につけたい人のための デザインの総復習。』(MdN、2014)がある。専門学校桑沢デザイン研究所・リビングデザイン研究科・グラフィックデザインコース卒業。現在、同校非常勤教員。有限会社トナン代表。
tonan's web http://www.tonan.jp/