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第48回「草原に消えた突厥文字」

開催概要

終了しました。
日時 14:00〜16:30(開場13:30)
会場東京阿佐ヶ谷
ゲスト鈴木宏節さん(突厥史研究者)
参加費1200円(飲み物つき)
定員30 名

内容

突厥文字(8世紀/大阪大学所蔵の拓本写真)

突厥文字(8世紀/中央ユーラシア学研究会提供)

「突厥」(とっけつ/とっくつ)は「テュルク(トルコ)」という発音を漢字で表したものです。

6世紀の中ごろ,アルタイ山脈のふもとでテュルク系騎馬遊牧民が「とつ
けつ

がん
こく
」を建国し,瞬く間に周辺の勢力を抑えて,西はカスピ海から東はモンゴル高原全域にいたる広大な領域の覇者となりました。

テュルク系民族は自分たちの言葉であるテュルク語(古代トルコ語)を書きあらわす文字を持っておらず,行政文書などもソグド語(ソグド文字)で書かれていたようです。このころの突厥について知る史料は,主に漢語の文献です。

ところが,8世紀になると独自の文字が考案され,各地に石碑が立てられるようになります。これが突厥文字です。テュルク語の発音の体系をよく反映した表音文字(アルファベット)となっていますが,その起源は謎に包まれています。この文字は10世紀ごろまで使われ,やがて忘れられてしまいました。

今回のゲストは,日本で突厥文字が読める数少ない研究者の一人,青山学院女子短期大学の鈴木宏節さんです。突厥文字とはどのような文字なのか,千年の風雪に耐えた石碑から何が分かるのか,なぜユーラシアの歴史を知るうえで重要なのか,を楽しく語っていただきます。

ゲスト

プロファイル

写真

鈴木宏節さん
(突厥史研究者)

鈴木宏節(すずき こうせつ)
青山学院女子短期大学・助教。東洋史・アジア史を担当。研究のキーワードは“今のモンゴル 昔のトルコ”。チンギス・カンがモンゴルの名をユーラシア大陸にとどろかせる以前,草原の遊牧民はトルコ語を話していました。その証拠がモンゴルに残る突厥碑文。私の仕事は,8世紀のトルコ語が突厥文字で刻まれた,この石碑を読むことです。今ではすっかり失われてしまった文字を解読しながら,歴史を復元する楽しみを伝えられたら幸いです。
一般書への寄稿文に「突厥碑文から見るトルコ人とソグド人」『ソグド人と東ユーラシアの文化交渉』(アジア遊学175号,森部豊 編,勉誠出版,2014)があります。また『テュルクを知るための61章』(小松久男 編,明石書店,2016)も分担執筆しています。