第44回「変体仮名をたのしむ」
開催概要
日時 | 14:00〜16:30(開場13:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 森岡隆さん(日本書道史研究者) |
参加費 | 1200円(飲み物つき) |
定員 | 30 名 |
内容
日本語を文字に表す試みは,「こころ」を「許己呂」と書くように,漢字を表音文字として使う方法で始まりました。いわゆる「万葉仮名」です。この例の「こ」で分かるように,一つの音にいくつもの字をあてて書くことができたので,これら万葉仮名の総数は一千字近くもあったといいます。
万葉仮名は形が漢字そのものであるため,素早く書いたり,行間に書き込んだりするには不便な面がありました。そこで,万葉仮名を元にして,草書体をさらに崩して平仮名が,また,字の一部分を用いるなどして片仮名ができました。
一つの音に複数の字が使われる状態は千年以上も続きましたが,明治33年(1900年)の小学校令施行規則により,義務教育で扱う平仮名・片仮名の字種・字体が一つだけになりました。採用されなかった他の字が「変体仮名」と呼ばれます。
変体仮名は今や,書道や古文書に興味のある方を除けば,すっかり〈読めない文字〉となりました。しかし,今なお全国でお店の看板・のれんや商品のパッケージなどに広く使われており,〈生きた文字〉でもあります。
今回は日本書道史や仮名書法などを研究されている筑波大学の森岡隆さんをゲストにお招きし,変体仮名がどのような文字なのか,実例を交えてお話しいただきます。
ゲスト
プロファイル
森岡隆(もりおか たかし)
1955年神戸市に生まれる。東京教育大学教育学部芸術学科卒業。博士(芸術学,筑波大学)。日本書道史・古筆学・仮名書法専攻で筑波大学大学院教授。東京大学文学部非常勤講師。書学書道史学会常任理事。立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞受賞。
高校教科書『書道I・II・III』(共著・教育出版)のほか『図説かなの成り立ち事典』(教育出版),『高野切本古今和歌集の復元』等の著書,「寸松庵色紙の伝存点数および改竄の一端」,「安積山の歌を含む万葉歌木簡三点と難波津の歌」,「鶴下絵・鹿下絵等和歌巻三巻に見る光悦スタイル」などの論文がある。