第42回「エチオピア文字の不思議」
開催概要
日時 | 14:00〜16:30(開場13:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 石川博樹さん(アフリカ史研究者) |
参加費 | 1000円(飲み物つき) |
定員 | 30 名 |
内容
エチオピアは長い歴史を誇り,古くから文明・文化の栄えた土地でした。「アフリカ最古の独立国」と呼ばれます。
この地で,日本の仮名よりもずっと早い時代に独自の文字が誕生しました。初めは古代南アラビア文字(写真上段)を借用していましたが,南アラビア文字が原則として子音しか表記しないのに対し,母音を表す記号を付加することで,音節を表す文字を生み出しました。これがゲエズ文字です(写真中段)。
やがて,アムハラ語を表記するために足りない文字を新たに追加し,アムハラ文字が誕生しました。アムハラ文字は近隣のいくつかの言語の表記にも使われました。ゲエズ文字とアムハラ文字を総称してエチオピア文字と呼びます。エチオピア文字は,現在に至るまで千数百年以上もの間使われ続けています。
歴史が古いだけに,分からないこともいろいろあります。南アラビア文字は右から左へ書くのに,エチオピア文字はなぜ左から右なのか。母音表記の仕組みはインド系文字そっくりなのに,影響を受けたという証拠が見つかっていないことなどです。
今回のゲストは,ゲエズ語の古典文献をも紐解きながら,エチオピアを中心としたアフリカ史を研究されている東京外国語大学の石川博樹さんです。エチオピア文字の起こり,仕組み,謎について語っていただきます。
ゲスト
プロファイル
石川博樹(いしかわ ひろき)
1973年生まれ。千葉県出身。東京大学大学院修了。博士(文学)。大学在学中にゲエズ語(古典エチオピア語)を学び,エチオピア史研究を始める。2009年より東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に勤め,エチオピアを中心としてアフリカ史の研究を続けている。研究上の必要性から,文字の歴史および文字文化・無文字文化についても関心を持つ。著書に『ソロモン朝エチオピア王国の興亡』(山川出版社),論文に「イエズス会北部エチオピア布教:識字能力の観点から」,エッセーに「文字社会と無文字社会の狭間にて」(PDF)などがある。