第41回「科学を発展させた数学記号の威力」
開催概要
日時 | 14:00〜16:30(開場13:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 中村滋さん(数学伝道者) |
参加費 | 1000円(飲み物つき) |
定員 | 30 名 |
内容
数学記号は数学嫌いを作ることがあります。確かに,理解できなければ得体の知れない変なものでしかなく,そんなものを黒板にカリカリ書かれては数学自体が嫌になることもあるでしょう。一方で,そんな記号を自在に操る数学者や数学愛好家もいて,数学記号は特別な人だけのものと思えるかもしれません。
しかし,私たちは,初期費用800円,月額500円のサービスを6箇月受けたときの税込合計金額は (800+500×6)×1.05 円であると,すぐに分かります。もし私たちが10進法という数の表し方や「+」「×」といった記号,また括弧のルールを知らなければ,このように簡潔に表すことはできないし,そもそも計算の全体を把握することも困難でしょう。
また,鶴亀算(1)の伝統的な解き方はなかなか難しいものですが,中学校で習う「連立方程式」を使えば,天才・秀才でなくとも簡単な操作で解けてしまいます。
微分・積分の記号に至っては,高度な概念を簡単に取り扱えるようにし,数学者・物理学者・工学者の思考を節約して近代の科学・技術を推し進めるのに大きく貢献しました。
今回は,数学者でカルチャーセンターでの講義の経験も豊富な〈数学伝道者〉の中村滋さんをゲストにお迎えし,そのような数学記号の力を歴史から掘り起こしてやさしく語っていただきます。「数学は嫌いだけど」「数式を見るとめまいが」という方のご参加も歓迎します。
(1)鶴亀算(つるかめざん):鶴と亀の頭の合計数と足の合計本数だけが与えられて,鶴が何羽,亀が何匹いるかを当てさせる問題。
ゲスト
プロファイル
中村滋(なかむら しげる)
1943年埼玉県生まれ。東京海洋大学名誉教授。専門は数論(特にフィボナッチ数),数学史。学習院大学での非常勤講師も終わり,最近は朝日カルチャーセンターで一般の方々に講義をしている。高校数学の教科書を使った数学再入門コースや,文明史と共に学ぶ微分積分学,さらには微分方程式,マクローリン展開などの本格的な数学講座,数学入門を目指す数学カフェなど,大いに楽しんでいる。また執筆活動もあって,毎日結構忙しい日々を過ごしている。
著書:『フィボナッチ数の小宇宙—フィボナッチ数,リュカ数,黄金分割』(日本評論社)2002,『微分積分学21講』(東京図書)2008,『数学の花束』(岩波書店)2008,『円錐曲線 歴史とその数理』(共立出版)2011,『円周率 歴史と数理』(共立出版)2013。