第30回「当て字・充て字・宛て字の世界」
開催概要
日時 | 15:00〜17:30(開場14:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 笹原宏之さん(日本語学者) |
参加費 | 1200円(ワンドリンクつき) |
定員 | 30 名 |
内容
「本気」と書いて「マジ」と読ませたり,「夜露死苦」と書いて「よろしく」と読ませるなど,わたしたちの身の回りにはさまざまな当て字があふれています。当て字には,漢字の音・訓を借りて日本語を表す「浦山敷(うらやまし)」「型録(カタログ)」といったものや,同音の字に置き換えた「年令(齢)」,もともと無かった音・訓を字義から生み出した「零(ゼロ)」の類い,漢字列の意味に対応する日本語を当てた熟字訓「大和(やまと)」「飛鳥(あすか)」「麦酒(ビール)」など極めて多様なものがあります。
万葉仮名も一種の当て字であるように,奈良時代以前から当て字は行われていましたが,後の時代にもさまざまな当て字が作られ,現在もすさまじい勢いで新しく生み出されています。「象徴的(シンボリック)」のようにルビを使って外来語と日本語の対応を示した表記や,英数字を使った「5963(ごくろうさん)」「109(マルキュー)」「E ので R(いいのであーる)」もあれば,字の形がその投球動作に似ていることから「ぷ」で「ボウリング」と読ませることすら行われています。「秋桜(コスモス)」のように歌謡曲で急速に普及し,辞書に載るに至ったものもあります。
なぜ日本語にはこれほど当て字が多いのでしょうか。古代から現代にいたる当て字のいろいろを見ることで,日本語・日本人がよく理解できたりはしないでしょうか。そこで今回は,膨大な当て字を収集し,昨年,『当て字・当て読み漢字表現辞典』(三省堂)を上梓された日本語学者の笹原宏之さんをゲストにお招きして,当て字のあれこれを語っていただきます。
ゲスト
プロファイル
笹原宏之(ささはら ひろゆき)
1965年,東京都生まれ。早稲田大学 第一文学部(中国文学)卒、同大学院文学研究科 博士後期課程(日本語学)単位取得。博士(文学)(早稲田大学)。文化女子大学 専任講師,国立国語研究所 主任研究官などを経て,現在,早稲田大学 社会科学総合学術院 教授。専門は日本語学,文字・表記の歴史と現状について探究する。法制審議会で人名用漢字の追加,JCS調査研究委員会でJIS漢字第1・第2水準の改正や第3・第4水準の策定,文化審議会国語分科会で常用漢字の改定などに携わる。著書に『日本の漢字』(岩波新書),『現代日本の異体字』(三省堂;共著),『訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語』(光文社),『当て字・当て読み 漢字表現辞典』(三省堂)などがあり,『国字の位相と展開』(三省堂)により,金田一京助博士記念賞を受賞。