第29回「簡体字はこうしてできた」
開催概要
日時 | 15:00〜17:30(開場14:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 松岡榮志さん(中国学者) |
参加費 | 1000円(ワンドリンクつき) |
定員 | 30 名 |
内容
中華人民共和国は,その成立後,大胆な文字改革を推し進め,よく使われる漢字の字体を簡略化して画数を減らした簡体字(かんたいじ)を正式な字として採用しました。簡体字の中には,日本人にもすぐ分かるものもあれば,书(書),龙(龍),华(華),机(機),云(雲)のように知識が無ければ読めないものも多くあります。それぞれの字はどのようにして決まったのでしょう。
簡体字は建国後に突然作られたものではなく,多くは民間で通用していた字を採集したもので,それを正式の字として採用することは,中華民国の時代にも試みられていたものです。その背景には,日本と同じく近代化のために文字改革が必要という認識がありました。また,大きく分けて,(1) 漢字を全廃して表音文字化(ローマ字化)しようという派と,(2) 漢字の改革にとどめようという派があったことも,日本と似ています。中国の文字改革に関わった人々の中には日本に留学・亡命した人も少なくなく,日本も何らかの影響を与えているでしょう。
かつて毛沢東が(中国語の文字は)「表音の方向に歩まねばならない」と言い,多くの人がいずれ漢字は廃止されると予想していたにも関わらず,現在まで漢字は健在です。
簡体字は,どのような時代背景のもとに,どのような人たちによって,どのような考えに基づいて決められたのでしょうか。「通用規範漢字表」の公布を目前に控えた今,簡体字の来し方について具体的な事例とエピソードを交えて語っていただきます。
ゲスト
プロファイル
松岡榮志(まつおか えいじ)
1951年,静岡県浜松市生まれ。東京教育大学文学部,東京大学大学院修士・博士課程を経て,現在,東京学芸大学教授,一橋大学大学院連携教授。北京師範大学,上海師範大学,西南交通大学客座教授。1986年~1987年,国際交流基金北京日本学研究センター客員教授,2007年~2008年,同センター主任教授。専門は,中国語学・中国文学,漢字情報処理など。『クラウン中日辞典』『超級クラウン中日辞典』『三省堂ユニコード漢字情報辞典』編集主幹のほか,著書に『北京の街角で』『歴史書の文体』『日本の漢字・中国の漢字』『漢字・七つの物語――中国の文字改革一〇〇年』『漢字とコンピュータ』『中国語作文1025題』『中国語翻訳実践教室』『中国語発音指導20課』など多数がある。詳しくは,http://www.u-gakugei.ac.jp/~matsuoka/ を参照。