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第26回「電算写植はこうしてできた」

開催概要

もじもじカフェ第26回「電算写植はこうしてできた」は終了しました。
日時 15:00〜17:30(開場14:30)
会場東京阿佐ヶ谷
ゲスト藤島雅宏さん(元電算写植機開発者)
参加費1000円(ワンドリンクつき)
定員30 名

内容

印刷用の版を作るために,活字を使わず,光学的に文字を印画紙に焼き付ける技術「写真植字(しゃしんしょくじ;写植)」は,大正時代に誕生して以来,長らく手動でアナログの世界でした。

これを自動化しようという動きが 1960 年代に各社で始まりました。つまり,1 行の文字数などを決めたら,あとはテキストを与えるだけで,自動的に禁則*も考慮しつつ文字を配列させる技術です。最初はリレー式計算機**が,そしてトランジスターや IC(集積回路)を用いるようになり,やがて汎用の電子計算機(電算機)が使われ,電算写植が誕生しました。

コンピューターを用いた組版は,今やごく普通の技術になってしまいましたが,当時のコンピューターは計算能力も記憶容量も今日とは比較にならないほど低く,入出力装置もまったく違うものでした。そうした環境のなかで,どのように電算写植が生まれ,育てられたのでしょうか。今回は電算写植の開発に黎明期から携わってこられた藤島雅宏さんをゲストにお招きし,当時の写真を交えながら誕生の背景や技術的ポイントをお話しいただきます。

*【禁則】句読点が行頭に来てはいけないなど,特定の文字が特定の場所に配置されることを禁止するルール。

**【リレー式計算機】電磁石の働きで ON/OFF が切り替わるスイッチング素子「リレー」を用いた自動計算機。

ゲスト

プロファイル

藤島雅宏さん
(元電算写植機開発者)

藤島雅宏(ふじしま まさひろ)
1938 年生まれ。東京理科大学理学部 I 部物理学科卒業後,1972 年まで(株)写研 技術部に勤務。リレー式欧文組版行末残余計算機,自動写植機用リレー式テープ編集機,電子式鍵盤キーボード漢字入力機の設計開発に従事したあと,手動写植機 PAVO,SPICA の開発課長を務める。
東京印書館 研究部,伊藤忠テクノサイエンス などを経て イー・エイド を設立(2007 年退任)
2002 年に日本規格協会 情報技術標準化研究センター 電子出版技術調査委員会メンバーとして,XSL-FO の JIS 化など,文書処理の標準化活動に参加。現在,XSL-FO,XSLT スタイルシート,HTML+CSS 等の啓蒙・開発支援活動を行っている。著書にバッチ組版のための『XSL-FO指南』,ページ組版のための『CSS指南』がある。