第15回「国民印刷機プリントゴッコの30年」
開催概要
日時 | 15:00〜17:30(開場14:30) |
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会場 | バルト(東京・阿佐ヶ谷) |
ゲスト | 岡田良隆さん(理想科学工業 取締役) |
参加費 | 1000円(ワンドリンクつき) |
内容
1977年の秋,家庭用の簡易印刷機「プリントゴッコ」が登場しました。ガリ版と同じ孔版印刷の原理を応用したものですが,フラッシュランプで簡単に製版でき,カラフルな印刷物が手軽にできることから,長年にわたるヒット商品となり,やがて5世帯に1台といわれるほどの普及を見ました。その背景には,年賀状の文化と,時代のカラー指向があったことでしょう。独特の刷り味を生かし,美術表現の手段とする人々も現れました。
2008年6月にプリントゴッコ本体のメーカー販売が終了するというニュースが話題になりました(消耗品などの提供は続きます)。そこで今回は,プリントゴッコの誕生当初から現在まで,営業の立場から関わってこられた理想科学工業・取締役の岡田良隆さんをゲストにお招きし,31年の長きにわたって多くの人々に愛されてきた印刷機について,歴史を振り返りつつ,語らいます。プリントゴッコで作られた作品も見せていただきます。みなさんもご自身の体験を語ってください。
ゲスト
プロファイル
岡田良隆(おかだ よしたか)
1950年茨城県生まれ。1973年理想科学工業株式会社入社。家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」と事務用孔版印刷機「リソグラフ」の販売促進と顧客開拓に携わる。量販DCS営業部長,総務部長などを経て,現在プリントゴッコ事業を統括するプリントクリエイト事業部ならびに不動産事業部を担当。理想科学独自のコンシューマビジネスの開発にもあたっている。
終了報告
今回のもじもじカフェ前半では、ゲストの岡田さんはまず、理想科学工業の歴史や主な製品に触れられた後、「家庭に印刷を持ち込みたい」という創業者・羽山昇氏の思いから生まれたプリントゴッコ開発のコンセプトを、4つのキーワード(「孔版技術を使う」「カラーでできるもの」「親子で使えるもの」「創造性をはぐくむ」)に託して語られました。また、「感熱製版の採用」「製版部分と印刷部分が合体しているもの」などの開発の際のキーポイントになったことや、お客様に商品を安く提供しようと小売店と直取引をしたなどの営業のご苦労などもお話しいただきました。
プリントゴッコは、パソコンで年賀状を作る人が増えたことなどの理由により、惜しくも2008年に本体の販売が終了したのですが、チャンスがあればまた別の形でプリントゴッコ事業にチャレンジしたい、という熱い言葉で締めくくっていただきました。
岡田さんには、貴重な初代プリントゴッコやさまざまなプリントゴッコ作品を持ってきて頂いたほか、参加者の方々にも自慢の作品を持ち寄って頂き、休憩時間はそれらを囲んでのプリントゴッコ談義に花が咲きました。
後半の部では、「今後消耗品の供給はどうなるのか」というプリントゴッコファンには最大の関心事をはじめ、「消耗品の賞味期限は?」「海外ではどのように使われているのか」といった質問が交わされました。
また今回は、実際に今でもプリントゴッコで作品を作られているというファンの方も数多く参加されたため、「ベタ面をきれいに出す方法」などの制作上の苦労話や失敗談などで大いに盛り上がったほか、今後、こんな事業を展開してはどうかといった理想科学工業への提案・要望の声が上がるなど、現在でも熱い支持を集めているプリントゴッコの魅力が再確認できる回となりました。
参加者の声
「わが子がもの心がついた頃から,年賀状をはじめ自分用の用箋などに使った思い出があります。(中略)何よりも,絵やデザインをはじめとして,子どもとの会話をしながら年末の多忙期に年賀状をつくることで,家族内での親密度が高くなったことは良かったです。こうした世代を超えた家族や地域の潤滑油という役割を担っていたこと。今,振り返るとプリントゴッコに代替するようなものがありませんね」
「プリントゴッコならでは!の印刷をこれからもしてみたい」
「テーマそのものにも関心がありましたが,このような対話形式のプログラムをどのように運営しているのかという点についても関心があり参加しました。質問の時間を長く取りながらも,参加者の質問・集中力が途切れないことに感動しました」