大熊肇の組版道場

2011年度最終回の合評風景
2011年度最終回の合評風景

今期の募集は終了しました。次回以降の開催は事務局までお問い合わせください。

開講日時・会場

開講日時

月1回 毎月原則第2日曜開講 全6回 
2019年 4月14日、5月12日、6月9日、7月14日、8月11日、9月8日(14:00〜16:30)

*各回とも途中15分休憩含みます。

InDesign特別講座のお知らせ

4月14日(第1回講義と同日)10:30〜12:30、希望者に対してInDesign操作法の基礎講座(全1回)を開催します。InDesignで課題を制作したいが操作に自信がないという方に、講座と併せてのご受講をお勧めします。また、InDesign基礎講座のみの受講も可能です。事務局までお問い合わせ下さい。

講師

大熊肇さん(グラフィックデザイナー)

定員

最大15名(最少開講人数8名)

会場

カメリアプラザ、または近隣会場など(予定)
アクセス

講座のねらい

パソコンによるDTPの普及は、かつて一握りの専門家のものであった組版を万人に開放しましたが、それゆえに組版が乱れたとはよく言われるところです。本当に読みやすい、美しい日本語組版とはどんなものでしょうか。それを作る技術は、電子書籍の時代にも必要とされる技術に違いありません。

この講座は、講師の指示通りに組むことを覚える講座ではありません。むしろ、「なぜそう組むのか」という根拠を講師とともに考え、「私はこう組む」という、自分なりの組版に対する考え方を見つけていただくことを目的としています。特定の組版ソフトウェアの操作法を指導するものではありません。

題材は一般の紙の書籍を念頭に置いていますが、書籍以外の一般の印刷物にも広く応用のできる内容としたいと思います。

受講生は毎回、事前に出される課題を提出することが求められます。課題に使用する組版ソフトウェアの種類やバージョンは問いません。提出された課題の講評を軸に*講議を進めて行きます。なお、希望される方を対象に、InDesignの操作法を学ぶ基礎講座を第1回の講義に併せて開催する予定です。

受講生専用のメーリングリストでは、受講期間中、講義内容や課題、また組版全般に対する質問をすることもできます。

対象

文字の組版に携わるすべての方(組版オペレータ、編集者、デザイナーなど)及びそれを目指す学生の方。課題制作のために、何らかの組版ソフトウェアを使用できる環境にあることが条件となります。

講義概要

文字詰めの機能

起筆の数と強さから見た分布
配布する資料の例

  1. オリエンテーションと文字組版の総論(4月14日)
    初回は大熊さんの組版に対する考え方について伺うとともに、縦組の本文を指定どおりに組んでみるところから始めます。和文組版に使われる漢字、平仮名、片仮名、欧文の仕組みや性格の違い。文字サイズや行送り、行アキ。行長と行間の関係、版面の設定の仕方、マージンの取り方……など、もしこの講座がこの1回だけだったらこれだけは言いたい、という内容をお伝えします。
  2. 書体と字体(5月12日)
    「字体」「書体」「字形」のそれぞれについて定義します。出版で使う字体、使わない字体について学びます。和文書体、欧文書体それぞれの歴史について触れながら、本文に適した書体、また見出しに適した書体について考えます。また書道家でもある大熊さんの視点から見た字体と筆遣いの関係について伺います。
  3. 行の調整、禁則処理、ルビの振り方(6月9日)
    文字組みアキ量の伸ばし処理、詰め処理などの行の調整について。ルビの振り方について。明治時代から現代までの印刷物を見ながら、DTPで組版するにはどこを見習ってどこを変えたら良いのか考えます。
  4. 横組の文字組版(7月14日)
    ここでは日本語の横組について学びます。特に横組に多い、欧文や数字を混植する際のルールや、美しい組み方について考えます。ごく基本的な欧文組版(英文)のルールについても触れることになるでしょう。
  5. 見出しおよび本文以外の構成要素(8月11日)
    本文を構成する重要な要素として見出しがあります。大見出し、中見出し、小見出しなどの組み方について考えます。また見出しの詰め組み、スペーシングの練習を行います。また扉や目次などの「前付」、索引・奥付などの「後付」など、通常の本文以外の構成要素の組み方を考えます。
  6. 卒業制作のプレゼンテーション&講評(9月8日)
    講座の総仕上げとして、受講生各人の選んだテキスト・版型で数ページの卒業制作を作成し、受講生全員で合評します。歳集会終了後には講師を囲んでの打ち上げを予定しています。

卒業生の声

・毎回、いろいろと気づかされることが多い内容でした。講評を聞く際は緊張しましたが、他の受講者の作品を見たり、先生の意見を聞いたりするのはとてもよい刺激になりました。

・今まで知らなくて気にもしていなかったことを気にする/なるようになったのが受講の成果のように思います。

・ひと月に1回を6回続けたことで、仕事をしながら参加することができました。時間をかけてゆっくり学べたのが良かったです。

・実践できるのが嬉しいです。受講人数もほどよく質問しやすくてよかった。

・文字のおさえなど、書体選びのポイントとなる点を分かりやすく解説していただけた講義がとても好きです。

・丁寧に添削していただき、大変分かりやすかった。

・字体の歴史など、本を読むと頭に入ってきにくい内容も、話を聞くという形で知ることができて良かったです。

講師紹介

大熊肇さん

大熊肇(おおくま はじめ)

1960年(昭和35)埼玉県春日部市生まれ。グラフィックデザイナー。8歳から書道教室に通う。小学校で教師に「木」の縦線をはねないように注意された (もちろんはねてもよい)のがきっかけで、字体に強い興味を持つ。道吉デザイン研究室を経てフリーランスになるころ、マッキントッシュを導入し、DTP組版を試みるが、組版についての無知を思い知り独学する。毛筆のロゴや篆刻も制作する。著書に『文字の骨組み 字体/甲骨文から常用漢字まで』(彩雲出版、2009 年)、『文字の組み方 組版/見てわかる新常識』(誠文堂新光社、2010年)。共著に『組版/タイポグラフィの廻廊』(白順社、2007年)、『キチンと身につけたい人のための デザインの総復習。』(MdN、2014)がある。専門学校桑沢デザイン研究所・リビングデザイン研究科・グラフィックデザインコース卒業。現在、同校非常勤教員。有限会社トナン代表。

tonan's web  http://www.tonan.jp/

大熊肇の組版道場

『文字の組み方』著者大熊肇さんと日本語組版を学ぶ少人数ワークショップ
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