こちらの講座は終了いたしました。
開催概要
開講日時
5月21日(土)18:00〜20:00(途中休憩15分含む)
講師
石井宏治さん((株)グルーソフトウェア)
定員
80名(先着順・要申し込み)
会場
ちよだプラットフォームスクウェア5F 会議室
(東京都千代田区神田錦町3‐21 東京メトロ竹橋駅より徒歩2分/JR神田駅より徒歩12分/東京メトロ神保町駅より徒歩7分)
アクセス
受講料
2000円(当日会場にて支払い)
講座の内容
グーテンベルクは自身の書物に写本と同じ美しさを求めました。しかし,写本の模倣だけでなく,大量複製という魔法をももたらしました。その後,印刷本は写本の伝統を受け継ぎながらも,目次・索引といった独自の書物文化を生み出し,一大メディアに育ちました*。
電子書籍もまた,印刷本の模倣という側面と,ハイパーリンクや検索性,動的レイアウトという魔法の側面を持っています。
本講演では,印刷本の模倣の面に注目します。印刷本は,“よく伝わる”ことを求めてさまざまな努力・工夫を重ねて来ました。印刷本から継承すべき特性・表現力のうち,電子書籍はどこまで実現できるのでしょうか。禁則や縦組といった基本的なことから,ルビ・縦中横・数式にいたるまで,日本語組版を幅広く論じます。
電子書籍の表現力は,ファイルフォーマットにも強く依存しますが,ここでは,仕様だけでなく策定のプロセスも完全にオープンであるEPUB(イーパブ)を取り上げます。EPUBは今年5月に完成予定のバージョン3.0において,日本語やアラビア語などへの対応を強化し,禁則・縦組はもちろん,ルビや縦中横が仕様に盛り込まれる予定です。
この動きはウェブの標準策定とも密接につながっており,将来のウェブの表現力の話でもあるのです。
本講演は,出版・印刷・デザイン関係者に向けて,電子書籍とウェブの表現力について,公開直後のEPUB 3の最新情報をお伝えします。
* 印刷された書物は,グーテンベルクより遥か前から東アジアで発達していました。上記のストーリーは印刷史の一断面を取り上げ単純化したものです。
対象
出版・印刷・デザイン関係者、またご興味のある方はどなたでも。
講師紹介
石井宏治(いしい こうじ)
版下作図機などの印刷向けシステム開発後、マイクロソフトに入社。Word 6から2000の開発に携わり、現在のCSS TextおよびWriting Modesの元となる仕様にかかわる。その後独立し、グルーソフトウェアを設立。Webや電子出版で、読みやすく美しい日本語を提供したいという考えからW3Cでの活動を始め、W3C CSS WG Invited Expertとして現在CSS仕様の作成を手掛ける。CSS TextとWriting Modes仕様の共同編者。