番外編「書物の構造と『組継ぎ本』実習」
開催概要
日時 | 14:00〜16:30(13:30開場) |
---|---|
会場 | 芭蕉記念館 研修室(東京・森下) |
講師 | 大倉壽子さん 直井薫子さん 前田年昭さん |
参加費 | 1000円 |
定員 | 36 名 |
内容
組継ぎ本とはステープラ(ホチキス)もノリも糸もセロテープも使わずに本をこしらえる方法です。
いまの製本でもっとも多い無線綴じではノドが十分に開かないため、コピーでは真ん中が真っ黒になってしまい、コピー機に無理に押し付けると本の背を痛めてしまいます。開きのよい糸かがりは辞書など以外ではあまり使われず衰退気味なのが残念です。製本会社は近年、製本ノリの改良による広開本の開発に力を注いでいますが、背をミーリングで削り、ノリで固めるという方法自体はそのままです。
背中を固めて立てる西洋式に対して、寝かせて保存する和装本は背を糸で綴じ、和紙の力にも助けられて軽くしなやかで長持ちするものでした。その東洋型と西洋型の歴史的経験の蓄積と融合から編み出したのが組継ぎ本です。
組継ぎ本は、素材の紙だけで構成する“用の美”であり、ノドにかかる荷重を折り紙と切り紙による分散で支えるものです。今回は、東西の製本の歴史をふりかえって実物を解体しながら書物の構造を知るとともに、実際にそれぞれ28ページの組継ぎ本をこしらえてみる実習をみなさんと体験したいと考えています。
(前田年昭)
持参するもの
- 定規(30cm)
- カッターナイフ(「折る刃」タイプのもの)
- カットマット(または代わりになるボール紙)
講師
インストラクター・大倉壽子(おおくらひさこ)
東京都出身。長年ミュージカル女優として活動する傍らポスターやパンフレット、Web制作、動画配信サービスの立ち上げなどに携わる。現在はAdobeの全製品を網羅しているスペシャリスト。年間200回以上のセミナーと幅広いジャンルの知識に定評あり。著書『神速InDesign』(共著、結城しおり名義)。Twitter @hisara_
インストラクター・直井薫子(なおいかおるこ)
1989年埼玉県出身。2012年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。現在、中野デザイン事務所在籍。書物のデザインや企画を行う。幼少より「本」や「編集」に興味をもち、書物の普遍性に魅力を感じる。文字塾二期生。書体制作を勉強中。第21回紙わざ大賞 審査員特別賞及び平和紙業賞。Twitter @mojikako
考案者・前田年昭(まえだとしあき)
1954年大阪府出身。全共闘運動で高校を中途退学して以来、文字と組版、印刷にかかわる仕事を続け、1996–1998年「日本語の文字と組版を考える会」世話人を経て現在、編集・校正のほか神戸芸術工科大学教員として組版を担当。和装本の再評価をはじめ、アジア規模での縦組みの復権をめざしている。Twitter @koueihei