第3回「カラーユニバーサルデザインってなに?」
開催概要
内容
黄色いランプはアクセス中
色の見え方は人それぞれって,ご存じですか? ある人にとって何も問題ない色づかいが,別の人にとってはとても分かりづらいものかも知れないのです。
たとえば鉄道の路線表示の色分け。色だけに情報を担わせたのでは,何百万人という色弱の方にとって不便なものとなりえます。
では,色を使ってはいけないのでしょうか。また,色弱者に配慮するためにはデザインを犠牲にしなければならないのでしょうか。いいえ,そういうわけではありません。
今回は,ご自身が色弱であり,カラーユニバーサルデザインという考え方を広めるべく活動されている田中陽介さんにお話しを伺います。
デザインや印刷に直接携わっていない方のご参加も大いに歓迎します。
ゲスト
今回のゲストは NPO 法人「カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)」の副理事長兼事務局長の田中陽介さんです。
プロファイル
田中陽介(たなか ようすけ)。
1968年,神奈川県生まれ。1990年,専修大学経済学部卒業。1991年,渡米し米国FAAプライベートパイロットライセンス取得。同年運輸省自家用操縦士技能証明取得。1993年,再渡米。1995年,帰国後,父親の経営する会社に勤めるかたわら,色覚問題研究グループぱすてる世話人(現運営人)となる。2003年にぱすてるから離れるまで色覚110番,色彩検討協力事業を担当。2004年NPO法人CUDO発足メンバーとなり,副理事長兼事務局長。現在に至る。
趣味:オートバイ,トライアスロン
終了報告
今回のもじもじカフェでは,御自身もD型強度の色弱という田中さんが,「人間の色覚は多様であり,多様な色覚に配慮した社会が望ましい」というカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)の主張を,様々な例をあげながらお話しされました。近年,カラー印刷技術の発達や,急速なパソコン,インターネットの普及で,「色」に情報伝達の機能を持たせるケースが非常に増えていること。それによって何百万という色弱者に不便を強いてしまうことがあること。そういう中で生まれたCUDO設立の経緯や取り組み,またカラーユニバーサルデザインを取り入れることで,マーケットが広がるという側面から,積極的にカラーユニバーサルデザインに取り組んでいこうという企業が少しずつ増えて来ているといった現状もお話しされました。
参加者からは,「東京メトロの路線表示は本当に見やすいのか」「具体的にどうしたらカラーユニバーサルデザインは達成できるのか」といった意見や質問が活発に交わされました。また,ご自身も色弱という参加者の方からは,体験を踏まえた意見や感想が寄せられました。
参加者の声
「印刷会社勤務ですので,是非現場で生かせる知識として活用して行ければと思います。」
「(参加者の)アンケートの中に,「色覚異常で困っている人を見たことがない」とか「こんなにたくさんいるなんて知らなかった」というのがありましたが,現時点でもすでに色覚異常者は忘れられつつある存在なのかもしれません。どうせ忘れられる日がくるのであれば,それは色覚を「異常」「正常」と分けることそのものが忘れられる日であって欲しい,なんてことを思います。」
「デザインは,本来「設計」であって,誰もが使いやすくという「ユニバーサルデザイン」の視点は,避けて通れないものと私は思います。しかしそれによって,表現の幅が狭まることへの不安,色弱者は顧客のメインターゲットにならないということなどが,ネックになっているような気がします。ちょっとずつ社会認識を広げていって,デザイナーの誰もが自然に,色も含めてUDを意識するようになればよいですね。」